こんにちは。薬剤師のクエ美です。
今日は、肌の乾燥を防ぐ
保湿剤の塗り方についてのお話です。
保湿剤を毎日塗るのって面倒なので
どうしても塗り方が雑になってしまいがち。
でも、どうせ塗るなら十分に保湿効果が
発揮される塗り方を!!
と言うことで今日は記事にしてみました。
この話を書こうと思ったのには
理由があります。
以前から、薬局にいらっしゃる患者様で
アトピー性皮膚炎の方がおられました。
その患者様は、治療薬を塗っているけれども
なかなかいい状態が保てない様子。
そんな方に、今更かな…と思いつつも再度
保湿剤の塗り方のポイントを説明したところ、
「もう一度、きちんとやってみる。」と言ってくださいました。
一ヶ月後に来局された時には
かなり肌の乾燥が改善し、良い状態に!
処方内容が変わったわけではなく、
保湿剤の塗り方1つで、改善したことに
患者様も大変喜んで下さいました。
もちろん個人差はあると思いますが、
やはり、ちゃんと効果のある使い方を
知ってもらうことは大切なんだなと
私自身、改めてすごく勉強になりました。
そして、今、困っている方に
もっともっと知っていただきたいなと
思ったわけです。
今日は、
- アトピー性皮膚炎の治療中の方
- 乾燥肌で悩んでおられる方
- 日々のお肌のお手入れの仕方が知りたい方
に向けて、保湿剤の効果的な使用方法について
書いていきます。
保湿剤の役割とは
まずは、なぜ保湿剤を塗る必要があるのか。
保湿剤の役割は、皮膚から水分が逃げないように、皮膚に蓋をしたり、水分を与えたりすることです。
健康な皮膚には、角質のバリア機能が3つあります。
1つは皮脂、もう1つは天然保湿因子、そして角質細胞間脂質です。
これらが皮膚から水分が蒸発したり、外から刺激がくるのを防いでいます。
ところが、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の方は、それらの物質が不足しているため、角層(皮膚の一番外側の部分)がはがれてきて隙間ができてしまいます。
その隙間から、水分が出て行ってしまったり、外からの刺激を受けやすくなってしまうため、皮膚が乾燥するのです。
そのような状態の時に、水分を与えたり、水分が逃げないように蓋をする働きのある保湿剤を塗る事で、乾燥を予防することができます。
保湿剤を塗る時の4つのポイント
① 塗る方向は、体のしわの向き
保湿剤を塗る時、無意識に体の上から下、縦方向に塗っていませんか?
実はその方向は ✖ です。
正しくは、保湿剤を体の横方向、しわに沿って塗るようにします。
下の絵に、⇔を書いてみました↓↓
横方向に塗ることで、保湿剤が皮膚全体に広がりやすくなります。
また、指先ではなく、手の平全体を使って、優しく塗っていくと皮膚への刺激が抑えられます。
② 入浴後5分以内に塗る
保湿剤は、皮膚がまだ水分を含んでいる入浴直後に塗るのが効果的です。
一般的には入浴後、5分以内と言われています。
これは、時間の経過とともに、皮膚の角質の水分量が減っていくためです。
出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhr/39/0/39_1/_pdf/-char/ja
ただし、夏場はお風呂から上がって直後は汗が噴き出す人もいるので、少し汗がひくのを待った方がいい場合もあります。
③ 塗る前に肌を湿らせる
保湿剤は、お風呂上りだけでなく、朝夜の1日2回塗った方が効果的です。
お風呂上りではないタイミングに塗る時は、霧吹きなどを使い、水や化粧水で皮膚を軽く湿らせた後、保湿剤を塗ります。
④ 軟膏の場合は、柔らかくしてから塗る
ワセリンなどの軟膏は、寒い時期は硬くなります。
そのまま塗ると、皮膚を傷つけてしまうことがあるので、手の平で温めて、柔らかくしてから塗るようにします。
保湿剤を塗る量
保湿剤の使用量目安は、約0.5gで手の平2枚分の面積(体表面積の約2%)に塗ることができます。
この『0.5g』と言うのは、
●25g容器に入った軟膏やクリームなら、人差し指の先端から1つ目の関節まで、
●10g容器に入った軟膏やクリームなら、人差し指の先端から1つ目の関節の約1.5倍、
●5g容器に入った軟膏やクリームなら、人差し指の先端から1つ目の関節の約2倍です。
●ローションタイプの物は、1円玉大くらいの量が目安になります。
実際にやってみると、思っているよりも、意外とたっぷり塗らないといけないことがわかると思います。
反対に、塗る量が少なすぎると十分な効果が得られず、長期間塗らないと病気が治らないことがあります。
適切量、塗れたかどうかの目安は、ティッシュが皮膚にくっつくくらい、または皮膚がテカるくらいです。
(ただし、保湿剤の種類にもよります)
保湿剤の種類の選び方
保湿剤には色々な種類があります。
基本的には好みに合わせて、使いやすいものを選びます。
夏は、汗をかきやすいので、さっぱりとした使用感のいい化粧水タイプやローションタイプ
秋から冬は乾燥しやすいので、皮膚を覆う効果に優れたクリームタイプや油脂性の軟膏タイプ
というように季節によって使用する種類を変えると、より使いやすくなります。
最後に…
今日は、効果を最大限に発揮する保湿剤の塗り方を紹介しました。
毎日ちゃんと保湿しているのに、あまり良くならないと思っておられる方は、ぜひ一度、塗り方のポイントや、使用量に気を付けて、実践していただけたらと思います。
保湿剤には、あくまでも乾燥を防ぐためのものであり、赤みやかゆみ、ガサガサなどのアトピー性皮膚炎の症状を改善する力はありません。
症状の強いところには、ステロイドやかゆみ止め、免疫抑制剤などの塗り薬など、医師から処方されたものを、指示通り使用するようにしてください。
肌の状態が今よりも少しでもいいものになりますように…♡
かかとのガザガザを改善したい方はこちらもご覧ください↓