こんにちは。薬剤師のクエ美です。
今日は、いざという時に困らないように知っておくと便利!
子どもの熱さましの坐薬の使い方 第二弾 です。
頓服で出してもらった熱さましの坐薬。
1回分しか使わなかったから、次に熱が出た時のために残しておこう!と冷蔵庫に入れておいて、何か月(何年?)と経っていたりしますよね。
使うときに、まだ使って大丈夫かな、新しくもらってきた方がいいかなと悩んだことはありませんか?
薬には、使用期限があって、その期限を超えると、薬の効果が十分に得られなかったり、体に害を及ぼしてしまうことがあります。
処方箋でもらうお薬は、もらった時に使い切るのが基本で、使用期限が書かれていない状態でもらうことが多いですが、残しておくことの多い熱さましの坐薬は、使用期限を知っておくことはとても大切なのです。
また、薬は使用期限内であれば、その効果や安全性がしっかりと確かめられているため、安心して使うことができますが、それは、きちんとした保管方法で保存されていた場合に限ります。
坐薬を正しく保管するにはどうすればいいのでしょうか。
今日は、
- 熱さましの坐薬の使用期限は どのくらい?
- 坐薬の正しい保管方法は?
について解説していこうと思います。
子どもの熱さましの坐薬の使い方 第一弾
- 子どもに使う熱さましの薬とは?
- 熱さましを使うタイミングとは?
- 自分の子どもにはどのくらいの量、使えるの?
については、こちらの記事で紹介しています
熱さましの坐薬の使用期限はどのくらい?
熱さましの坐薬の使用期限は、医薬品メーカーや薬の規格(1錠あたりに入っている主成分の量)などによって異なります。
アセトアミノフェンを主成分とする坐薬では、製造後3年というのが多くなっています。
薬品名 | 50㎎ | 100㎎ | 200㎎ | 400㎎ |
カロナール坐剤 | 3年 | 3年 | 3年 | 3年 |
アルピニー坐剤 | 3年 | 3年 | 3年 | ー |
アンヒバ坐剤小児用 | 3年 | 5年 | 5年 | ー |
アセトアミノフェン坐剤小児用「シオエ」 (旧:パラセタ坐剤) | 3年 | 3年 | 3年 | ー |
アセトアミノフェン坐剤小児用「JG」 | 3年 | 3年 | 3年 | ー |
アセトアミノフェン坐剤小児用「日新」 | 3年 | 3年 | 3年 | ー |
アセトアミノフェン坐剤小児用「TYK」 | 3年 | 3年 | 3年 | ー |
ただし!
この使用期限は、お薬が作られた時点からの期限ということに注意が必要です。
お薬が作られてから患者さんのもとに届けられるまで、次の図のような経路をたどっています。
① 製薬会社でお薬が作られ、注文に合わせて医薬品卸に届けられる
② 医薬品卸で、薬が保管・管理され、注文した病院や薬局に届けられる
③ 病院や薬局で、患者さんにお薬が手渡される
薬の使用期限まであとどのくらい期間があるかは、薬が製薬会社から出荷されてから、どのくらいの間、医薬品卸や、病院・薬局で保管されていたかによって、大きく変わります。
そのため、上の表の使用期限の3年もしくは5年は、あくまでも目安でしかないのです。
もらった坐薬の使用期限が知りたい時は?
もし、正確にその坐薬の使用期限を知りたい場合は、お薬をもらう時に、薬剤師に「薬の期限を教えてほしい」と言ってみるとよいでしょう。
お薬を受け取る時であれば、薬局で、その坐薬を出した外箱を確認すればいいだけなので、使用期限がすぐにわかります。
ちなみに私は、子どもの頓服の坐薬には使用期限をお薬の袋に記載してお渡しするようにしています。
もし、何ヶ月が経ってから使用期限が知りたくなった場合でも、お薬をもらった薬局であれば、薬に記載されているLOT番号や、医薬品卸から仕入れた伝票などにより、使用期限が確認できることもあります。
使用期限が分かったら、お薬の袋に書いてもいいですが、坐薬に直接書いておくと、お薬の袋と坐薬がバラバラになってしまった時でも安心です!
※記入は油性ペンで!
坐薬の正しい保管方法は?
使用期限まで安全に薬を使用するためには、きちんとした方法で保管しておくことが大切です。
保管する時の温度について
それぞれの坐薬の添付文書に記載されている保管方法はこちらです。
薬品名 | 保管方法 |
カロナール坐剤 | (50mg)室温保存 (100,200,400mg)冷所保存 |
アルピニー坐剤 | 直射日光を避け 30℃以下で保存 |
アンヒバ坐剤 | 冷所保存 |
アセトアミノフェン坐剤小児用「シオエ」 (旧:パラセタ坐剤) | 室温保存 |
アセトアミノフェン坐剤小児用「JG」 | 室温保存 |
アセトアミノフェン坐剤小児用「日新」 | 室温保存 |
アセトアミノフェン坐剤小児用「TYK」 | 室温保存 直射日光を避け なるベく冷所に保管する |
日本薬局方により、室温保存は1℃~30℃、冷所保存は1℃~15℃と定められています。
保存する温度は製薬会社によって違いはありますが、上に挙げた坐薬は全て、主な基材が油脂性のハードファットというものでできています。
このハードファットは、溶融温度が約33℃~37℃で、体温くらいの温度で溶けるようになっています。
室温保存だからと部屋の中に置いておくと、夏場は30℃を超えて溶けてしまう恐れがあるため、冷蔵庫に入れておくと安心です。
保管する時の向きについて
保管する時に、置いておく向きにも注意が必要です。
坐薬は先端側(お尻に挿入する方)が下向きになるように保管します。
これは、持ち運びによって柔らかくなっていた坐薬が、冷蔵庫などで冷え固まる時に、後方側が下になっていると先端側に凹凸が生じることがあるためです。
凹凸が生じると、お尻に挿入しにくくなってしまいます。
実際に、坐薬を温めた後、先端側を下にして保管した場合(下の写真右側)と、後方側を下にして保管した場合(下の写真左側)とで中身がどうなっているかを検証してみました。
まずは、正しい保管方法で、先端側を下にして保管した場合
先端部側はつるっとしています👏
これならお尻への挿入にも支障がありません。
次に、間違った保管方法で後方側を下にして保管した場合
挿入する先端側に空胞ができ、凹凸ができたまま固まってしまっています。
お尻に入れる時にできるだけ抵抗がないように、保管は先端部側を下にして、立てて保存するようにしましょう。
最後に…
今日は
熱さましの坐薬の使用期限は どのくらい?
坐薬の正しい保管方法は?
について紹介しました。
●アセトアミノフェンを主成分とする坐薬の使用期限は、3年もしくは5年です。
ただし、患者さんの手元に渡るまでにどのくらいの期間を要しているか不明なため、お薬をもらうときに使用期限を聞いておくと安心です。
●坐薬の保存方法は、薬によって異なります。
お薬をもらうときに指示された方法できちんと保存するようにしてください。
●アセトアミノフェンを主成分とする坐薬に関しては、体温で溶けるように作られているため、迷う場合は冷蔵庫での保存が無難です。
●坐薬は固まるまでは先端部側を下にして、立てて保存しましょう。
第三弾は
坐薬の1/2や2/3の割り方についてです。